7人のうち4人が笑った「命」
武田 いやあ、あんまり持ち上げないでよ。ゴルゴさんの「命」のギャグはどうやって生まれたんですか?
ゴルゴ あれは1997年の正月、埼玉の実家に帰り、翌日に東京のお笑いライブのために東京に戻るときにできました。地元の駅は1時間に電車が1本くるかどうかというぐらいの田舎だったので、ホームで待っている間に新年らしい人文字ギャグを考えようと。ぼんやり秩父の山を眺めていたら、山頂になぜか「命」という漢字が浮かんだんです。
なんだか「授かった」という感触があり、駅のホームで手を広げてみたら、「命」という漢字に見えました。これはいけるぞ! とその日のライブでさっそくやったんです。
武田 それで、大ウケ?
ゴルゴ 残念ながら大ウケではなかったです(笑)。そもそもその日、最大50人入る会場に、7人しかお客さんがいませんでした。1月2日でしたし、人気もありませんでしたから。
でもこのギャグで7人のうち4人が笑ったので、手応えを感じました。それからライブに出て行くときには必ず「命!」とやるようにしたら、だんだんイメージが定着していきました。
武田 自分がいけると思ったら、繰り返してみることは大事ですね。
※本稿は、『「命」の相談室-僕が10年間少年院に通って考えたこと』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
『「命」の相談室-僕が10年間少年院に通って考えたこと』(著:ゴルゴ松本/中公新書ラクレ)
長きにわたり若者の人生に寄り添い続けてきたお笑いコンビ・TIMのゴルゴ松本。生き方に惑う人たちの悩みに答え、生きづらい今の時代を楽しく生きるヒントを与える、令和版「命の授業」!