イラスト:谷本ヨーコ
年齢とともに病気や怪我が増えるのは、女性の体ならではの理由がありました。健康に暮らすための心構えを、女性医療に長年かかわる専門医が教えます(構成=内山靖子 イラスト=谷本ヨーコ)

こんなにあった!「女性ホルモン」7つの役割。減少が膝の痛みや尿漏れなどの不調を招く〈前編〉より続く

アルツハイマー型認知症の要因にも

50代を超えると、健康診断を受けた際に「LDLコレステロール値や中性脂肪値が高い」と指摘され、脂質異常症と診断される女性が多くなります。実は、これも女性ホルモンの減少が原因です。

エストロゲンもプロゲステロンも、材料はコレステロール。閉経を機に女性ホルモンが体内でつくられなくなれば、材料であるコレステロールが体内で余ってしまう。数値が上がるのは当然のことです。

ですから、閉経後の女性の場合、コレステロール値が正常値より20~30mg/dL程度高くても、男性のように、それがすぐに動脈硬化につながるわけではありません。ただ、それ以上数値が高い場合は脂質代謝も衰えていきますので、動脈硬化が始まり、脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気を引き起こす危険性に注意しなければなりません。

血管や骨だけでなく、記憶力や判断力といった脳の機能も女性ホルモンがサポートしています。エストロゲンの分泌が少なくなることで、脳の機能も低下していく。65歳以上の女性がアルツハイマー型認知症になる比率が男性より高いのは、閉経を機に女性ホルモンのサポートが失われてしまうことも大きな要因と言われています。

男性か女性か、そして年齢によっても、ことほどさように検査すべきポイントは変わるもの。性別と年齢に合った健診をきちんと受けることも、大切な対策だと思います。