いやだった「街角名前当てクイズ」

余談ですが、ここで私のいやだった仕事、聞いてもらえますでしょうか。いやというより、とっても恥ずかしかった思い出です。

渋谷の街中で、新番組の司会者を当ててもらうという撮影をして(写真提供:写真AC)

私がまだ20代後半だった頃、初めてニュース番組の司会に起用してもらいました。

その番組はすでに何年かの歴史があったのですが、新たに起用される私のことを宣伝するためにPR動画を作成してくれることになったのです。

その撮影ロケ地が、人通りの多い東京・渋谷のセンター街。もちろんそこにいるのは若い人が中心です。

ニュースはあまりご覧になっていない世代……。

すでにいやな予感はありました。

撮影の内容はというと、いくつかのまあまあわかりやすいヒントを出して、新しい司会者は誰かを当ててもらうというもの。当ててもらったら、建物の陰に隠れていた私が登場して、わーいとなる想定です。

でも、私の知名度は私が一番知っています。かなりいやな予感はしていました。

撮影が始まり、何人かが答えてくれましたが、当たりません。

渋谷でも世間でも、私のことを知っている人なんてほとんどいません。ほどなく方針が変更され、「当たらなくても私が登場する」ことになりました。当たらないまま出ていく恥ずかしさに、笑顔も引きつりました。

ただ、渋谷の若者は思いのほか心優しくて、私が登場した後のリアクションには深いお気遣いをいただきました。「この人だれ?」なんて言わないでいてくれました。