賞を頂いたことはとても嬉しいことでしたが、賞をもらった嬉しさより、 芝居が楽しいと思えた作品に出合えたことの方が 自分の中では宝物になりました(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

 

 

圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第11回は「突然きた女役と、偉大な先輩轟悠さん」のお話です

初めての組長、はじめての女役

「え・・・?」

172㎝の男役の私に、なぜか突然回ってきた女役。
組長を経験した最初の公演は、なぜか女役でした。

日生劇場公演の『オクラホマ』というミュージカル作品でした。
このときはまだ管理職の組長ではなかったのですが、
少人数の公演で、このとき一番学年が上だった私が
この公演の組長を務めることになったわけです。

そしてこの公演で主演を務めたのが専科の轟悠さんでした。
初めての組長、はじめての女役と、いろいろと驚きと戸惑いの中、まず私がやらなければならないことは、スカートを作ることでした。

十何年か振りに履くスカート(姿)に多大な違和感を覚えつつ鏡の前に立つ私。
裾までの黒い長いスカートに、シャツの衿を立ててみる。
うーん・・・
どうなんだ、これ?