圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第14回は「悪役と女ったらしと」のお話です
「悪役と女ったらしと」
宝塚にいた21年の中で
様々な人物を生きてきました。
共感できる部分がある役や、
到底理解出来ない人物もいたり、
時には女役を演じる事もあったり。
性別は違えど、演じるという事に関しては同じ。
自分以外の人間になる感覚はとても面白く、
演技する事が面白いなんて
宝塚に入る前の私からは考えられない事でした。
踊ること以外欲がなく、
お芝居することも声を出すことも苦手だった私は、
競争心もなく、当然目立った存在ではありませんでした。
恥ずかしがりの性格と苦手意識が随分長い間ありました。