俳句は「言葉で豊かになる世界」
宇多 俳句は、「始めた時が適齢期」。お子さんはもちろんのこと、80歳くらいから始める人もいます。それに歳を重ねると、未来が短くなるから、若い頃とはものごとが違って見えてくる。でも、未来がないわけじゃない。明日があるし、今日の午後もある(笑)。未来は命が果てるまであるし、そこを楽しむのが俳句だと思います。
小林 これから始めたいという人は、ひとりで句作もいいけれど、ぜひとも句会に参加することをおすすめします。自分たちで始めてもいいんじゃないでしょうか。私たちも、素人ばかりで始めて、10年も続いているくらいですから。
宇多 私、生徒さんに言うの。「今は皆さん、歩いてこられるけれど、いずれ歩けなくなる日が来る。お金がなくなる時もあるかもしれない。そういう時、かたわらに俳句があると世界が広がるわよ」って。言葉で豊かになる世界を持っているのは、本当に幸せだと思います。
南 そうですね。楽しんでつくりたいですね。
小林 今日も楽しく俳句の時間に浸ることができて、とても幸せでした!
ヘアメイク:
北一騎(小林聡美さん)
スタイリング:
藤谷のりこ(小林聡美さん)
小林聡美さん衣装提供:ブラウス、ニット、スカート/ミナ ベルホネン
出典=『婦人公論』2022年2月号
小林聡美
俳優
1965年東京都生まれ。82年の映画「転校生」でスクリーンデビュー。映画、ドラマ、舞台での活動の他に、エッセイも執筆。著書に『ワタシは最高にツイている』『読まされ図書室』『聡乃学習』『茶柱の立つところ』など。8月からWOWOWで「小林聡美NIGHT SPECTACLES チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」が放送・配信予定
宇多喜代子
俳人
1935年山口県生まれ。53年、石井露月門下の遠山麦浪氏を知り俳句を始める。70年、『草苑』創刊に参加し、桂信子氏に師事、同誌編集長を務める。現代俳句協会特別顧問。文化功労者。句集『宇多喜代子俳句集成』、エッセイ『俳句と歩く』など著書多数。2019年に第18 回俳句四季大賞、20年に第61回毎日芸術賞受賞(写真撮影:関めぐみ)
南伸坊
イラストレーター
1947年東京都生まれ。イラストレーター、装丁デザイナー、エッセイスト。東京都立工芸高等学校デザイン科卒業。美学校で木村恒久氏、赤瀬川原平氏などに学ぶ。雑誌『ガロ』の編集長を務めた。『ねこはい』『私のイラストレーション史』『生きてく工夫』『あっという間』など著書多数