イラスト:なめきみほ
2月22日は猫の日です。コロナ禍で家にいる時間が長くなった昨今、ペット人気が高まっています。そしてやはりペットとして人気があるのが、犬と猫。2020年の新規飼育頭数は犬が14%、猫は16%も増加したそうです。70代の越野めぐみさんも家族の一員に猫を迎え入れたそうですが、それをきっかけに、止まっていた人生が動きだしたことを実感されているようで――。

可愛いなら、うちに連れてきたら?

6月半ばのことでした。道端で小さな猫が地面に体をすりつけ、お腹を見せているのを見つけたのです。実に愛嬌たっぷり。

「可愛いね。名前はなんて言うのかな?」

猫好きの私が頭やお腹を撫でると、甘えてくるのが愛らしいのです。すると、近くにいた女性が、「のんちゃんと言うんですよ」と教えてくれました。

それからは雨の日以外、のんちゃんに話しかける毎日。夕食時にその話を長男にすると、「そんなに可愛い猫なら、うちに連れてきたら?」と言います。

「ダメダメ。首輪をしてるから飼い猫だよ。そんなことしたら、私が窃盗でつかまるじゃないか」

わが家は71歳の私と、49歳・独身の長男の二人暮らし。長男も私と同じく猫好きなのですが、5年前に14歳で愛猫を亡くして以来、別離がトラウマになってしまって、猫を飼うことを諦めていました。

そうは言っても、好きなものは好きなのでしかたない。ある朝、猫の名前を教えてくれた女性・佐藤さんに思い切って、長男との会話を話してみました。すると、間髪入れずに「飼い猫じゃないよ。私が保護しているだけだから。飼ってもらえると、私ものんちゃんも嬉しい」と言うではないですか。