猫のおかげで人生が徐々に動き始めた
7日目の朝、電話が鳴りました。
「のんちゃんが帰ってきた!」
なんと佐藤さんの家に戻っていたのです。犬のグンちゃんにくっついている姿を見て、ほっと一息。私の家から彼女の家までは1キロぐらいでしょうか。家の数でいえば10軒ほどです。1週間いったいどこを歩いていたのかはわかりません。佐藤さんは、「猫用のリードでも、力が強いと外れちゃうかもしれないから」と言って、小型犬用のリードを2つもくれました。
失踪騒動は「里帰り」という思わぬ形で幕を閉じました。その後も元気な猫は毎日いたずらばかり。先日はふすまをやぶられ、その後始末に追われました。でも人に「可愛い猫ね」と言われると自分のことのように嬉しい。猫が来る前は、息子との会話などほとんどなかったのに、今や話題に事欠きません。
佐藤さんという新たな友人もできました。毎週のようにのんちゃんを連れて彼女に会いに行っています。
大げさでなく、私のフリーズしていた人生が、1匹の猫のおかげで徐々に動き始めたような気がするのです。