首輪が外れて逃げられてしまった
家族が増えたことで、私と長男の心が弾んだのは言うまでもありません。猫の鳴き声がすることで、親子二人のわびしい暮らしに、温かい明かりがともったような気がしました。
ところがある日のこと、リードをつけて散歩をしていたところ、首輪が外れて逃げてしまったのです。裏の山には、猪や狸、猿がいます。ひ弱な猫が襲われたらひとたまりもない! 慌てて泥まみれになりながら追いかけましたが、見失ってしまいました。
涙ながらに佐藤さんに電話をすると、彼女はすぐに来てくれました。
「のんちゃん! のんちゃん!」
佐藤さんの声が響き渡ります。その後も私たち親子とともに、毎日一緒に探してくれたのです。