毎日読みたい365日の広告コピー

編著◎WRITES PUBLISHING
ライツ社 1850円

記念日や誕生日のプレゼントにも

テレビや新聞雑誌で、あるいは街や電車内で、広告コピーを目にしない日はない。とはいえ、ほとんどはすぐに記憶から消えていく。本書はそのような夥しい数の広告コピーの中から選りすぐり、1月1日から12月31日まで、それぞれの日に関連づけて紹介する。名言付きの日めくりカレンダーのような感じで1ページに1フレーズ。横書きだったり縦書きだったり、文字の大きさとデザインもコピーごとに変わるので、ページを繰るのが楽しい。

〈年齢を脱ぐ。/冒険を着る。〉〈ち、/のち、/いのち。〉など、元々何かを宣伝するためにつくられたフレーズがそこから切り離され、言葉そのものの力として迫ってくる。短いなかにこちらの想像力を刺激し、思いを深めるきっかけを潜ませていたり、日常の感覚をずらして笑ってしまうような仕掛けがあったり。えっそうかなあと立ち止まりあらためて考えてしまう表現もある。普段の言葉のやりとりだけではなかなか得られない世界が新鮮だ。

元は何の広告だったかに加え、いつもは目にすることのないコピーライターの名前も記されている。読んでいくうちに、このひとの発想と言葉の扱い方が好みにあうなと気づいたりするかも。

兵庫県の小さな出版社が企画編集し(煩雑な許可取りも乗り越えて!)、2017年12月に刊行。ロングセラーとなり現在3万8500部まで伸びている。カバーには365日分の日付が記されていて、プレゼントするときは相手の誕生日や贈りたい言葉の日付に印をつけてどうぞ、とのこと。素敵な趣向だ。

第2弾『ずっと読みたい0才から100才の広告コピー』を今年3月に刊行、こちらも好評だ。年齢につれて変わる人生のさまざまな場面に、コピーが添えられている。