私は《メール&LINEまめ》

いつからでしょうか。実は私は、とても筆まめとは言い難いことになっています。前述の皆さんのことを考えれば、これから書くことはズボラな人間の言い訳でしかないのですが……、コラムニストとして、放送作家として、書き物が激増したことが私を筆不精にさせてしまいました。ハガキや手紙以外に書かなければならない文章があると、どうしても、そちらにかかりきりになってしまうのです。年賀状も、もう十年以上前に書くのを止めてしまいました。

その代わりといっては何ですが、メールやLINEのレスポンスは速いし《まめ》なほうだと思います。

例えば、誰かと食事をした帰り、乗車したタクシーの中で、すぐに御礼のLINEを打ちます。たいてい酔っぱらっているので、後になって億劫になってしまわないように、すぐ文章とスタンプを打つのです。あまり機会は多くないのですが、御馳走していただいたときはもちろん、こちらがお会計をしたときでも「本日は、ありがとうございました。また御一緒できますように」と打っています。

実は、「御礼」の熨斗をつけた贈り物も頻繁にするタイプです。私がここまで長く仕事を続けてこられた理由には、《筆まめ》からの《メール&LINEまめ》と、付け届けが功を奏しているのかもしれません。

でも、永六輔さんがラジオで仰っていた、あの言葉を思い出すと、ここまで書いて来た言い訳も吹っ飛ばされてしまいます。「御礼状も書けない忙しさは、恥ずかしい忙しさ」。永さんのオリジナルではなくて、どなたかが仰った言葉を永さんが口にされていたのです。

「御礼状も書けない」という無礼さを指摘されていることもグサリと心に刺さりますが、「恥ずかしい忙しさ」という言葉のほうが私には堪えました。

「どうして、そんなに働いているの?」…これは30歳代前半、メインで仕事をしていた出版社で同い年の女性ライターから言われた言葉です。