「《100歳までいきいきと》なんて無理。どこかで諦める。私、集中力はあまりないんですけど、今、《あきらめる》集中力が必要やなと思っています」(撮影◎霜越春樹)
上沼恵美子さんが、2022年2月1日放送の『徹子の部屋』に初出演。関西ではトップ司会者の一人である上沼さんだが、尊敬する黒柳徹子さんとの対面はとても緊張したとか。番組内では、夫とのエピソードも披露しているという。「一度は離婚を考えた」という心境を、『婦人公論』2021年11月24日号で語っていた上沼さん。その記事を再公開する。

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――27年間続いた『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』が2022年春に終了というニュースが流れた上沼恵美子さん。仕事も人生も一段落の時期かと思いきや、長年「ネタ」であった夫との別居、ライフワークとして取り組んできた『快傑えみちゃんねる』の突然の終了と、コロナ下で大きな変化を経験することに。今、その心中に去来する思いとは──(構成=社納葉子 撮影=霜越春樹)

歳をとるのは寂しいことだけど

人生100年と言われる時代になりました。人生が長くなり、ハッピーハッピーと皆さんおっしゃるけど、逆に生きるのがものすごく難しい時代になったと思います。生きるとは修業であり、勉強であり、苦しみであり……。

もちろん楽しみもありますけど、楽しむにも体力や気力が必要なんですよ。年齢とともに、体力も気力もやる気もなくなる。それも当たり前なんです。だから「100歳までいきいきと」なんて無理。どこかで諦める。私、集中力はあまりないんですけど、今、「諦める」集中力が必要やなと思っています。

私も年が明けたら67歳という年齢になり、今までできていたことができなくなってきました。血糖値が高い、血圧も高い。だから甘いものを食べてはいけない。抑え込まれることが多くて、楽しみは減る一方。

でもよく考えたら、ある程度のことは経験してきたわけです。私の場合は旅行好きな夫につきあって、海外は行き倒しました。エッフェル塔は3回も4回も見たんですよ。初めて見たのは19歳の時、海外旅行も初めてでした。「うわあ」と鳥肌立ちましたね。

もうあんな感受性はありません。感受性がなくなると、人生の楽しみの80%がなくなったような気がします。今やエッフェル塔も通天閣も変わりません。クリスマスにウキウキしたり、年末年始が楽しみというのも、子どもの頃や恋人時代の一瞬だけですよね。