「たまに会う」という生活の知恵
私は結婚が22歳と早く、そこから女の人生が始まりました。23歳で母になり、姑や小姑がいて、いろいろあって、仕事をまた始めて、ほかのタレントさんにいびられたこともありました。
荒波だらけの人生を生きてきて、気がついたらこの歳になっていて。「うそ!」と思いますもん。目はかすんでくる。耳はまだ聞こえてるつもりなんですけど、この前、夫に「君の声は大きくなった」と言われました。「テレビの音も大きいね。耳が悪いんじゃないのか。耳鼻科へ行ってこい」と言われたので行きました。異常なし。夫に腹立ちました。
言いたいのは、歳をとるのは寂しいことだけど仕方ないということ。歳をとることを自分なりに集中して分析してみる。「歳をとるのに不公平はないんだ」と受け止めましょう、ということです。
私に対しては相変わらず偉そうな夫ですが、彼も歳をとりました。テレビ局を定年まで勤めましたが、もう少し働くのかと思ったら61歳で辞めてきましたからね。「辞めるかもしれないよ」とは聞かされましたが、「辞めてきた」と言われた時にはびっくりしました。
それでも勤め上げたわけですから家族でお祝いしました。一番高いステーキハウスで上等なワインを抜いて、「お父さん、お疲れさまでした」と。2人の息子は気が利かないので、私が「お父さんに手紙を書きなさいよ」と仕込んでおきました。それを受け取った彼は「後で読む」と言いながら目をウルウルさせて。
で、彼がステーキを食べながら息子たちに「お父さんは70歳でこの世を去る」と言うたんです。「それまでは好きなことをします」と。私は「どこか体の調子が悪いんかな。それにしても9年て、中途半端な」と思いつつ、「彼は70歳で死ぬ」とどこかで信じていました……でも、死ぬもんですか! 来年75歳ですが、ストレスがないからそれはもう健康で。かかりつけのお医者さんで検査をすると、何もかもが正常の数値だそうです。何やかやと飲む薬の量も私の3分の1ですね。