衰えた汗腺を鍛え直すことが必要

「熱中症予防には、“いい汗”をかくことが重要です」と、五味先生。

汗のもとになるのは血液です。汗腺は、血液のうち血球を除いた血しょうを血管からくみ取り、汗として排出します。しかし、そのままだとミネラルなどの体に必要な成分も失われてしまうことに。そこで、汗腺のろ過機能が働き、ミネラルなどの成分は血管に再吸収されるのです。

「汗がきちんとろ過されれば、余分な成分を含まない、ほとんどが水分となった“いい汗”が出ます。水に近いため、皮膚表面から蒸発しやすく、効率よく体温を下げることができるのです。また、“いい汗”はすぐに乾き、臭いもありません」

一方、汗腺機能が衰えていると再吸収がうまく行われず、ミネラルなどの濃度が高く、ベタベタした汗に。

「こうした“悪い汗”は蒸発しにくく、体温を下げることができません。しかも体に必要なミネラルまで体外に出してしまうので、熱中症を起こしやすくなるのです」

では、“いい汗”をかくためにはどうすればいいのでしょう。

「まずは、衰えた汗腺を鍛え直すこと。努めて体を動かし、真夏になる前はできるだけエアコンの使用を控える。夏もエアコンの温度は高めの27度前後に設定するほか、規則正しい生活と十分な睡眠で自律神経を整えるよう心がけてください」

そのほかの対処法は、次ページから紹介します。“いい汗”をどんどんかいて、暑い夏を乗り切りましょう。