「ふたたびステージに立てるとは思っていませんでしたから。本当に感慨深かった。」
今年4月に85歳を迎える加山雄三さんは、ニックネームの「若大将」そのままにいつもおおらかで若々しい。いくつかの人生の苦難を乗り越えてきた経験から、「幸せを『幸せだ』と感じる心がなければ、幸福にはなれない」と語ります(構成=篠藤ゆり)

念願のステージに復帰できた

俳優として東宝に入社したのが1960年だから、今年でデビュー62年。もうそんなに経つんだね。昨年秋には2021年度の文化功労者に選ばれまして、大変光栄であり、うれしく、そしてビックリしました。たくさんのファンの方や関係者の支えあればこそ。僕がみなさんの代表という気持ちで賞をいただきました。

もうひとつうれしかったことは、待ちのぞんでいたステージに復帰できたこと。昨年12月11日、Billboard Live TOKYO で約2年ぶりの有観客ライブを開催したんです。

ステージは「エレキナンバー」と「海ナンバー」の2部構成。久しぶりだからちょっと緊張したけど、みなさんに会えて最高に幸せな気分でした。だから、「君といつまでも」という歌の、「幸せだなァ」から始まるセリフにはいまの心境を加えました。

「こんなに幸せなことはありません。死ぬまで歌い続けるぞ」ってね。まさか、ふたたびステージに立てるとは思っていませんでしたから。本当に感慨深かった。

人前で歌と演奏を披露できるのは、何ものにも代えがたい喜びがあります。ここしばらくライブができなかったのは、コロナの影響もあるけれど、入院とリハビリをしていたからなんです。