泣いたり笑ったり、さまざまな表情の裏に、感情を隠して日常を送る私たち。「空気を読むを科学する研究所」代表取締役の清水建二さんによると、アメリカでは要人警護を担当する警察官や空港職員ら向けに、表情を瞬時に検知し、危険人物を特定するプログラムが実施されているそうです。清水さんは「表情の読みとりスキルを生かして仕事を成功させ、プライベートも充実させた方を何人も見てきた。表情を読みとるスキルは、人間を深く理解し、日々の人々との関わり方を劇的に良い方向へ変える」と言いますが――。
これから暴力行為をしようと企てているのは誰か
多くの人々が行き交う都会の雑踏、熱気あふれるコンサート会場やスポーツ会場、聴衆が集う著名人の演説の場などで、下のような表情をしている人々がいます。この中に、これから暴力行為をしようと企てている人物がいるとしたら、それはどの人物でしょうか。
アメリカでは、要人警護を担当する警察官やその他の法の執行官、空港職員向けに、危険人物を特定するプログラムが実施されています。プログラムの全容は非公開ですが、その中の一つに、次々と映し出されるネガティブな表情をした人のスライドの中から、危険表情のみを瞬時に検知するというものがあります。トレーニングは、直感的に正解できるようになるまで続けられます。
危険表情とは、殺人・暗殺・テロ・暴力行為を行おうとしている人が見せる表情のことを言います。この危険表情の数秒後以降に暴力行為が行われる可能性が高いことが知られています。
このことは、防犯カメラなどに収められた暴力行為をした人物の表情データと暴力行為を体験した警察官や犯罪被害者の目撃証言をもとに研究が進められました。
その結果、「ある二つの顔」が直接的な暴力行為につながる可能性の高いことがわかりました。