お正月に自宅に戻り、富山のお酒で乾杯する柴田さん(左)と、母・須美子さん(右)。「いまは母の好きなことをさせてあげたい」(写真提供:柴田理恵さん)

「やっぱり、家で暮らしたい」としみじみ

ところが12月初旬、夜中にトイレに行こうとして転んで、腰椎を圧迫骨折してしまったのです。しかも、夜中なので看護師さんを呼ぶのを遠慮したらしく、私が翌朝行ったときに発覚。母は、骨折の痛みのことよりも、「せっかくリハビリをがんばったのに、お正月までもう1ヵ月しかない」としょげていました。

そこで、「いまは骨折を治すのを最優先して2週間は安静にしようね。そのあとリハビリすれば、間に合うよ」と励ましました。すると、母から返ってきた言葉は、「でも、そんなに寝ていたら、歩けんようになる……」。とにかく歩けるようになって自宅に戻りたいという強い意志が見えました。

母は、有言実行の人。幸い希望通り、年末年始に一時退院して家に戻れることに。2018年のお正月、おせちに母が好きな富山のお酒を用意したら、「あぁ~、おいしい。お酒が飲めてよかったわぁ」。そして、「やっぱり、家で暮らしたい」としみじみ言うのです。

正月明けに、ふたたび病院に戻り、すぐ退院できることになりましたが、まだ大雪が続く時期。母ひとり一軒家の自宅に戻るのは危ないと考え、春まで病院の隣にある系列施設で過ごしてもらいました。