「銭湯って服を脱いで入るから、その人が何をしているかって全然わからないんですよ。何者でもない状態での会話ってすごく癒される」(撮影◎本社・中島正晶)

何者でもない状態での会話に癒されて

森崎 :僕も最近、そういう経験をしました。今、キャンプにハマっているんですが、この間一人で行ったキャンプ場の管理人のおじいちゃんと、めちゃくちゃ仲良くなりまして。本当に周りに何もない山奥のキャンプ場だったので、夜になったら僕のライトしか明かりがないくらい真っ暗で。管理人の息子さんに、「あ、夜イノシシ出るかもだから気をつけてねー」と言われて、「えー!?」みたいな(笑)。翌朝、目を覚ますと、管理人のおじいちゃんが「大丈夫だった?」と心配して様子を見に来てくれました。話すうちに仲良くなり、「もっと奥にすごい景色があるから見にいく?」って、車に乗せてもらったんです。後から「実は僕こういう仕事をしていて」っていう話をしたら、YouTubeを見てくれて、「曲かっこいいじゃん!」って。

塩谷 :嬉しいですね。

森崎 :そうなんです。そういう出会いの経験は、今まであまりなかったので、すごく心が浄化されたというか。何のフィルターも通さずにお互いを見て、そこにいて、会話して。すごく楽しかったんですよね。塩谷さんの銭湯での体験も、きっとそういうことですよね。銭湯が好きという共通点があるだけで、二人の会話がどんどんビルドアップされていって、気が付いたら人と人とが繋がっているというか。

塩谷 :そうなんです。銭湯って服を脱いで入るから、その人が何をしているかって全然わからないんですよ。私も本を出したり、こうやってメディアで取り上げてもらったりしたことで、ある程度顔が知られてきたので、何者でもない状態での会話ってすごく癒されるんですよね。

森崎 :キャンプでは服は脱がないけれど、朝起きたら髪ボッサボサだし、泥だらけだし、手も汚れるし。そういう状態だからこそ、その人の飾らない姿が見える気がしますね。