妻が忙しくしているほうが家庭は円満
2年前、5歳下の院長に「そろそろリタイアしたい」と告げたところ、「だめだめ。私も75歳まで院長を続けるから、それまでお願い」と言われてしまったとか。
「それじゃあ、私が仕事を辞められるのは80歳になってしまう。それからだと元気に遊べなくなると焦りました(笑)。そこで事務局スタッフを増員して私の仕事を減らしてもらい、週3日勤務にすることで手を打ったのです。今は、仕事はほどほどにして週に1度はゴルフに行くことにしています」
長女は、篠田さんがいつまでも忙しくしていて、息子の面倒をあまりみてくれなかったのが不満だったようだ。
「孫が小さいころは、『いいかげん家でゆっくりしたら』と文句を言っていましたが、孫が大きくなって手がかからなくなったら、現金なもので、『仕事は辞めないほうがいい』と言い始めたのです(笑)。仕事を辞めたら一気に老け込むわよ、ですって」
確かに、現役感にあふれているせいか、75歳とは思えないほど若々しい篠田さん。あと5年は、仕事に遊びに、精を出すのだろう。
ちなみに5歳年上の夫は、60歳から自由気ままなリタイア生活。毎日、家でのんびりしているのだとか。特に衝突もせず、仲はいいと言う。
「ろくに話もせずに夫婦で顔を突き合わせているより、妻が忙しくしているほうが、家庭は円満なのかもしれませんね」
と言いながら、篠田さんはいたずらっぽく笑った。
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リタイア後の人生は三者三様。だが、共通して、長く勤めたその人なりの自信と達成感が、その後の自由な生き方を後押ししているように見える。
夫のためでもなく、子どものためでもなく、自分のために仕事をする。これが、人生のセカンドステージで解放感と充実感を得るポイントなのだろう。