イラスト:竹井千佳
恋人同士の時期と違って、いざ結婚となると、お互いの両親や親族とも家族としての付き合いをすることになります。親世代と同居している家庭は減ってきているとはいえ、現在同居は3割程度、また、同居していなくても節目節目での交流などでストレスを感じている人も多いようです。嫁ぎ先の父はどんな人か。初めて会ったときにはわからない素顔や、自分にだけ見せる本性に振り回され、ゾッとすることも──。金本豊子さん(41歳・主婦)が体験した、義父の恐ろしい行動とは

夫は「気にしないで」と

17年前に結婚が決まったころから、夫はたびたび「うちの父親は普通じゃない。些細なことに難癖をつけて家族に当たり散らす。家族も親戚も慣れて、まともに相手をしていないから、気にしないでね」と話していました。けれども、そのとき私は気にも留めていませんでした。

初めて夫の実家に行ったときのこと。会うなり突然、義父が「おしぼりも出さないで、何をやってるんだ!」と、義母を罵り始めたのです。義母はまったく動揺していませんでしたが、息子の結婚相手となる初対面の私の前で……。非常に驚きました。

後日、結婚式について夫と相談したときのこと。私の実家は北海道で、夫は千葉。お互い離れていて費用がかかるため、式は教会で済ませて披露宴はしないことにしました。ところが義父に報告すると、「披露宴もしないのに親戚から祝儀だけもらうつもりか! 一軒一軒お礼に回るのか!?」と文句を連発。電話をした夫は「いつものことだから」と冷静です。

結局、「一生に一度のことだし、義父や義母も満足してくれるなら……」と、札幌で式を挙げ、1ヵ月後に千葉のホテルで夫側の親族を招いて披露宴をしました。義父は「ホテルでの食事代も交通費もすべてオレが払う」と言っていましたが、結局、1円も出さず、全額を私たち夫婦で負担することに。義父に対しては「ものすごく見栄っ張りで、外面がいいんだ」と、このとき確信しました。