「いい子すぎる」のは要注意
加えて注意したいのが「いい子すぎる」と感じる状態です。
「いい子すぎる」とは、どういうことでしょうか。それは、自己主張に乏しく、文句一つ言わず、親や教師の言いつけに素直に従う聞き分けのいい子ということです。
もちろん、「いい子」であることが悪いというわけではありません。そういう子どもは、「協調性が高い」と大人からは評価されます。
けれども、それはあくまで親や教師の側からの見方であって、本人の心の内側をのぞいてみると、案外心から素直な気持ちで従っているわけではありません。
言いたいことや不満があっても表には出さず、大人を、友達を怒らせないよう顔色をうかがい、気に入られようと必死で自分を押し殺しています。
これを、過剰適応と言います。失感情症とともに、心身症にかかりやすい性格特徴です。起立性調節障害の子どもの「生真面目」にも通じます。
過剰適応の傾向が強ければ強いほど、完璧を目指そうとします。しかし、物事に完璧などというものはありません。過剰適応の子どもはそれでも完璧であろうとするので、容易に心と身体のバランスを崩してしまいます。
常に張りつめ、緊張し、自律神経の興奮状態が慢性的に続きます。さらに、自身の感情への気づきに乏しいので(失感情症)、本当は不満があるのにそのことにすら気づかないまま「いい子」を演じ続け、自律神経のバランスをますます悪くしてきます。
過剰適応の根底には、「認められたい」という欲求があると言われています。「これだけ頑張っているんだから認めてよ」という心理です。
そんな欲求がわくのは、それまで認められてこなかったことが原因であり、たいていの場合は親子関係に問題があります。
過剰適応をする子どもの親は、自己中心的でカッとしやすく、過度に几帳面、子どもの些細な言動や行動に口を出しすぎる、といった傾向があります。いわゆる過干渉です。
そのような親は、子どもをほめることがあまりなく、ネガティブなところばかりを指摘します。必然的に子どもは自信をなくし、「僕は悪い子なんだ」「お母さんは私を嫌っている」などの見捨てられ感を抱くようになります。
子どもにとって親から見捨てられるということは何よりの恐怖なので、そうならないよう必死で言いつけに従おうとするのです。そうすることで、「こんなにいい子にしているんだから、もっと愛してよ」というメッセージを親に伝えています。