子どもの目線まで下りて見てあげることが大切
少子化社会と言われて久しい現代社会、親は期待のすべてを一人か二人の子どもに注ぎ込もうとします。「まともに育ってほしい」と願うあまりに、どうしても躾に厳しくなってしまいます。
それは仕方のないことなのですが、子どもは心も身体もまだ発達していません。その当たり前のことを、親はもっとしっかりと認識するようにしなければいけません。
ちょっとごはんをこぼしただけで、ちょっと友達を叩いただけで、あたかも大人がそうしたのと同じくらいの手厳しさで叱るのは間違っています。
子どもにしてみれば、なぜ叱られているのかあまりよく理解できず、「お母さんが怒っている」というメッセージだけが伝わります。そして、戸惑いのうちに「嫌われたくない」という思いを募らせてしまうのです。
そんなときは、子どもの行動を否定するのではなく、「子どもはこんなものだ」という寛容さを持って、子どもの目線まで下りて見てあげることが大切です。
そうでなければ、「いい子」を演じ続けることに限界がきて、自律神経機能のバランスが崩れ、起立性調節障害を発症することになるでしょう。すると、それがさらにストレスとなって自律神経の機能不全が悪化し、なおさら起きられなくなるのです。
※本稿は、『新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
『新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある』(著:森下克也/CCCメディアハウス)
「怠け」と見られがちな思春期の「朝、起きられない」に医学的な根拠を求め、起立性調節障害という疾患を世間に知らしめる先駆的な役割を果たした書籍に大幅加筆修正!最新の知見、症例を盛り込んだ新装版をここに。