イラスト:小林マキ
更年期にさしかかると、なんとなく体がだるい、頭が重い、イライラしやすい、といった症状を感じることが増えてくるもの。こうした更年期特有の不調には漢方が有効だとか。自分の症状や体質に合った漢方の取り入れ方を伝授します(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

更年期は血の流れが滞る

閉経を挟んだ前後5年ほどを指す更年期には、女性ホルモンの分泌量の減少に伴って、さまざまな不調が表れます。

「体調がすぐれないけれど検査では異常がないなど、病気の一歩手前の状態を漢方医学では『未病』といい、この段階で体調を立て直すことを重視しています。更年期症状も治療の対象です」と話すのは、クリニック総院長の伊藤隆先生。

漢方医学では、心身の状態を「木・血・水」のバランスから判断します。気とはいわば生命エネルギーで、目には見えませんが、血や水を巡らせる原動力となるもの。そして、血とはいわゆる血液、水とは血液以外のリンパ液や汗などの体液を意味します。この3つはお互いに影響し合い、体内をバランスよくめぐっていることが大切だそう。

「更年期は、全身あるいは体の一部で血の流れが滞る『 お血(「お」は病垂に於、以下同)』という状態にあると考えられます。この血流の停滞をきっかけにバランスが崩れることで、気・水も乱れてさまざまな症状が表れるのです」(伊藤先生。以下同)