閉経後はとくに体調の変化に注意

漢方医学において、閉経後に注目されるのは、「腎」という臓器です。

「腎は、西洋医学の『腎臓』同様、水分代謝を司るとともに、生きるエネルギー源を蓄え、肺の呼吸をサポートする役割まで含んでいると考えられています」

閉経後は、腎が衰える「腎虚」による不調が増えると伊藤先生。

「腎虚とは、簡単にいうと老化です。水分の排出がうまくいかなくなることで、頻尿や夜間多尿に悩まされるようになったり、下半身がむくみやすくなります。また、目のかすみや耳鳴り、白髪やシワが増えたりすることも腎虚の症状といえるのです」

 症状の改善には漢方薬が有効ですが、どんな薬が合うのか悩むこともあるでしょう。そんなときは、漢方クリニックや漢方薬局で相談すると安心です。また、漢方薬を飲むだけで万全と考えるのは早計、とも伊藤先生は注意を促します。

「体質の転換点にいることを意識し、生活スタイルや食生活を見直しましょう。ジョギングやウォーキングなどの運動を取り入れ、体質に合った旬の食材を摂り、しっかりと睡眠をとることが大切です。こうした生活が漢方薬の効き目を高め、健康寿命を延ばすのです」