塩芳軒「木の芽上用」

可愛らしい山椒の若芽がのった季節限定の饅頭。真っ白の薯蕷(じょうよ)に緑色があしらわれた姿が愛らしく、芽吹きの季節にふさわしい爽やかな香りを楽しめるひと品です。

外はつくね芋などを使った薯蕷生地、中はこし餡という、きわめてシンプルな菓子ですが、木の芽、生地、餡のバランスが絶妙。口に入れると、フワッと香りが鼻を抜けていき、吟味した素材の良さを感じます。

初夏に向かうこの季節、山野の木々が一斉に芽吹き、生命が溢れています。山椒の新芽もまたこの時期だけの生命の息吹。

「大きくなった葉っぱではあかんのです。この赤ちゃんのように小さな新芽が手に入らなくなったら、その年の分はお終い」と店主も語る旬の菓子。

好みの茶と一緒に木の芽の香りを味わいつつ、季節のめぐりを感じてみては。

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