一つ一つの料理を肉眼以上に美味しそうに撮ることをテーマに表現を追求して。揚がりたての衣の上でまだ油がピチピチと弾ける様子をしっかり撮るとか、水の音一つとっても、ピチョピチョという音よりは、ピチョンの方が綺麗に聞こえるとか……。

映画の世界はカメラや音声など、全てプロの仕事なので、僕は普段、音の編集作業に口出しすることはあまりないんです。でも食べ物に関しては、たとえば何か汁をかけるというシーンの音が、一歩間違うとジョボジョボという小便の音みたいに聞こえてしまうなどと非常に難しくて。

咀嚼音もそうですが、ちょっとしたニュアンスの違いで汚い音に感じられてしまうものなので、聞いている人が不愉快にならず、美味しそうと感じる音にするにはどうしたらいいか、苦労しましたね。何度も調整したり、スタッフに意見を聞いたりしながら試行錯誤で。このように音には特にこだわったので、ヘッドフォンで聴いていただけたら、より楽しんでいただけるかなと思います。

シーズン2では新しいキャラクターも多数登場します。特に印象的だったのが、吟遊詩人を目指すアルヌ役を演じてくれた浅香航大くん。喋らずにそこにいるだけでカッコいいし、あんな金髪のカツラが似合う人なんてなかなかいない。イングリドという魔女のような女性を演じてくれた水野美紀さんもそうですね。銀髪での初登場シーンなんてまるで『ハリー・ポッター』みたいで。(笑)

このドラマの舞台はヨーロッパ風の異世界だけど、キャストはみんな日本人。ひとつ間違うとお笑いというか、コントっぽくなってしまうので、どうやってカッコよく見せるかというのも、テーマの一つでした。キャストの皆さんの存在感、演技には助けられましたし、ヨーロッパの街並みや居酒屋の雰囲気を再現するため、美術装飾部のスタッフも素晴らしい仕事をしてくれて。