(撮影◎初沢亜利)
品川庄司として活動する一方で、小説の執筆、映像の制作、YouTubeでの発信など、幅広く活躍する品川ヒロシさん。脚本・監督を務めた『WOWOWオリジナルドラマ 異世界居酒屋「のぶ」Season2~魔女と大司教編~』の制作秘話、コロナ禍での過ごし方や今後の活動について聞きました。(構成◎野口美樹 撮影◎初沢亜利)

娘との時間ができて

この2年ほどのコロナ禍で、仕事やプライベートに大きな変化がありました。特に、自宅で家族と過ごす時間は増えましたね。僕は基本的に自宅で脚本を書いているのですが、自宅待機になった小学生の娘が時間を持て余して邪魔してきてくるんです。それがうるさくって(笑)。幸いにも僕は、多少周りが騒がしくても気にならないタイプなので、もうダメだ、書けない!となることはなかったですが、あまりにも続くと「ちょっと静かにして!」とか「しつこいな!」と怒ったり(笑)。そう言いながら僕も、自分が休む時は娘のことを邪魔しにいきます。娘がアニメを見ているとこに寄って行くと、「邪魔しないでよ」って僕と同じ反応をする。(笑)

そうやって書き上げたのが、脚本・監督を務めた『WOWOWオリジナルドラマ 異世界居酒屋「のぶ」~魔女と大司教編~』Season2です。

現場で監督を務める品川さん

シーズン1が放送されたのは2年前、僕にとって初めてのドラマ監督作でした。原作の『異世界居酒屋「のぶ」』は、中世ヨーロッパ風の異世界・アイテーリアと繋がってしまった居酒屋「のぶ」を舞台に、食を通して人々の交流を描いた人気小説。原作者の蝉川夏哉さんや、ファンの方々に喜んでもらえるような作品にできるかということを一番気にしました。今回、2の制作が決まったのはシーズン1の評判が良かったからだと思うので、嬉しく思うとともに、シーズン1よりも面白くしないといけないな、と気が引き締まりましたね。

シーズン2の原作では、登場人物たちの人間関係や、舞台であるアイテーリアという街の政治的な背景も掘り下げられています。小説は自分のペースで読むことができるけど、ドラマではセリフを聞きながら物語を理解してもらわないといけない。1話25分のドラマの中で複雑なストーリーをわかりやすく伝えつつ、ファンの方が楽しみにしてくれている大谷亮平さん演じる大将の調理シーンや食べ物のシーンもしっかりと見せる……そのバランスが一番難しかったかもしれません。