始まったわたしたちの新たな関係
それから春がすぎ、夏。お店での『加トちゃん専用お肉料理』が当たり前になり、わたしも仲良くなって「早く加トちゃんに会いたいな」と思い始めたある日――。
食事を終えた加トちゃんに、お会計をお渡しすると「それ……」とコースターを指さしました。めくると、真っ白なコースターにとても達筆な字で、電話番号だけが大きく書かれていました。一体いつ書いたんだろうってくらい、丁寧できれいな字で。
「えっ……」と加トちゃんの顔を見ると、照れくさそうに「もしよかったら」と目線を外す加トちゃん。
そうして、わたしたちの新たな関係は始まっていったんです。
あ、家に帰ったわたしが、コースターを握りしめ「この電話にかけていいんだろうか」と何十分も悶々としたのは言うまでもありません(笑)。