認知症は個人差が大きい

実例では、認知症と診断された女性が、子育て世代の頃の自分に戻ってしまい、帰宅を促す町内放送を聞いて、「子どもが帰ってくるからご飯をつくらなければ」と、施設を勝手に出て自宅に帰ろうと徘徊をしました。

また、認知症になる前は温厚だった人が暴力的になり、親族や介護スタッフを殴ったり、噛んだりするケースもあります。どんな症状が出るのかは予想がつかない、ということは覚えておきましょう。

私が理事長を務める(社)介護相続コンシェルジュの相談実例でも、認知症の進行度合いは人それぞれで。緩やかに進行するケースばかりではなく、半年で一気に認知症が進んだ方もいます。個人差があることを覚えておいてください。

さらに認知症と診断されると、生活に関わる費用がかさむことも忘れずにいたいものです。

認知症の初期は、まだ買い物はできるものの、お金の計算が難しくなるため、節約ややりくりができなくなります。また介護保険制度を利用するようになると、介護費用が発生するようになります。

認知症の介護期間も個人差が。認知症が原因でお亡くなりになるのではなく、老衰もあれば肺炎やがんなど、他の疾病を併発した結果、死亡するからです。介護が始まって、半年でお亡くなりになった方もいれば、最長では20年の方も。

介護期間の想定は、手持ち資産で何年ぐらい介護生活ができるかに大きく影響します。
最低でも10年、あるいは100歳まで生きることを想定しておくといいでしょう。