写真提供◎山田さん 
放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する新連載。第9回は「気遣いの人、坂上忍さんのこと」です。(写真提供◎山田さん)

「坂上忍はMCを演じている」

「エゴサーチはしない、ブレるから」

坂上忍さんが4月1日に終了した『バイキングMORE』(フジテレビ系)の中で、度々口にしてきた言葉です。

2014年4月、曜日MCとして起用された『バイキング』(同)がリニューアルされ、坂上さんが月曜~金曜の総合MCに就任したのは翌2015年のこと。その後も何度かリニューアルを重ね、ゲストや専門家による《生ホンネトークバラエティ》なる形になってからというもの、ハッキリした物言いや、白黒をキチンとつける坂上さんの姿勢に対し、ネットが騒がしくなっていきました。

テレビ番組の作り手の一人として、まず言わせていただきたいのは、カメラが回っているところでの出演者の言動は多かれ少なかれ《ショー》の要素が入っているということ。坂上さんは芸歴52年のベテランですから、その辺りはわかりすぎるほどわかっている。私はいつも「坂上忍はMCを演じている」と思い、観てきました。

放送作家として最初にお世話になったのは『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)。綺麗好きで掃除好きな坂上さんのエピソードは、ガサツだったり掃除が苦手だったりするタレントと闘わせると抜群の面白さを発揮したのです。

私がもっとも覚えている坂上さんの《綺麗好き》エピソードは、美容院でシャンプーをしてもらった後、美容師さんが耳の中を拭いてくれたタオルでそのまま髪を拭くのが「耐えられない」というもの。考えてみれば確かにそうですよね。実はこのオンエア後、この行為を改めた美容院が何軒もあるんですよ。

話を『バイキング』に戻しましょう。私が出演するようになったのは、《生ホンネトークバラエティ》が定着してから。初回のことはものすごく覚えています。榎並大二郎アナウンサーが「コラムニストの山田美保子さんです」と言い終わらない内に、「え~、山田さんまで来ちゃったの?」と坂上さんが私の名前をおさえ、笑ってくれたのです。私の名前や仕事を坂上さんが認識してくれていたことに驚くと同時に、《愛》を感じたものです。

そこから毎週水曜日に呼んでいただくようになり、3時間の『バイキングMORE』になってからは不定期出演になったものの、多いときは週に3回も呼ばれるようになりました。

『バイキングMORE』の最終回の企画、「記者会見」