戦争の終着点はどこに
Q:今回のウクライナ侵攻は、ロシアの当初の計画からは想定以上に長期化してしまっている、と報じられています。ロシアにとって、今後の「落としどころ」というのは、どこにあるのでしょうか。
A:プーチンが当初の計画で描いていたのは、ゼレンスキー政権打倒と傀儡政権を樹立するところまでだったと思われます。それがうまくいかず、実現のめども当面立っていないいま、ロシアにとってはドンバスから南部海岸地帯を実質支配するところまでが、最低限の目標になっているのではないでしょうか。
Q:両国の間では数度にわたって停戦合意交渉が行われていました。停戦の条件として、ウクライナのNATOへの加盟断念と、「中立化」が挙げられていました。それぞれに実現可能性はあるでしょうか。
A:ゼレンスキーは、「NATOへの加盟は断念して中立になってもいいが、その代わりに、新しい安全保障の仕組みを作るべきだ」と言っています。
しかし、ロシアも納得し参加したうえで、しかもウクライナにとっても実効性のあるような仕組みが果たして可能なのか、極めて難しい課題ではないでしょうか。
ロシアは、いままさにウクライナに侵攻しており、今後も侵攻してくる可能性があるでしょう。そのロシアを入れたうえで、ウクライナの安全を保障するような枠組みを作るという発想自体が、一種の自己矛盾です。