信頼できる同盟の重要性
Q:最後に日本への影響についてお聞かせください。物理的には離れているウクライナやロシアですが、世界的には経済制裁が発動されたり、特にエネルギー資源の面で、混乱が予想されています。日本へは今後、どのような影響があると考えられますか。
A:エネルギーや経済の面でいろいろ影響は考えられますが、一番重要なことは、これが日本の安全保障を考える上でも他山の石となることです。
今回ウクライナが侵略されてしまったのは、ウクライナが信頼できる同盟であるNATOに入っておらず、周囲の国家からの援護や援助を得られなかったからでした。
あるウクライナの元外相が「日本は日米安保があって羨ましい」と私に言ったことがあります。私はこれを聞いて、むしろウクライナの人から、信頼できる同盟の重要性について教えられたように感じたのです。
『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書)
ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながらも、独自の文化を失わず、有為の人材を輩出し続けたウクライナ。不撓不屈のアイデンティティは、どのように育まれてきたのか。スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍から、1991年の新生ウクライナ誕生まで、この地をめぐる歴史を俯瞰。人口5000万を数え、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い国土を持つ、知られざる「大国」の素顔に迫る。