76歳で介護福祉士の資格を取得
訪問介護の仕事もおかげさまで順調に続けていて、年が明けたら3年目という時期のこと。現場で3年の実績を積むと介護福祉士の資格試験を受けることができるのですが、若い人でも何度も落ちる難関の試験。
どないしようかなと迷っていたら、会社の人から「11月からの講習を受ければ来年初めの試験を受けられるよ。明日が申し込みの締め切りなんやけど」と声をかけられまして。「なら、受けてみますわ」と答えたのが、まあ運の尽きでした。(笑)
会社が開く講座は全6回で、毎週日曜日の朝9時から夕方5時までびっちり。医療から介護制度までがぎっちり詰まった教材は、何が何やらちんぷんかんぷん。最初の講座で「ページをめくったら、もう前に何が書いてあったかわからなくなりますねん」と、思わず先生にこぼしてしまいました。
そしたら、「覚えられないのは千福さんだけと違います。年いったら、若い人の何倍も勉強するより仕方ありません」と諭されまして。それならばと、介護福祉士試験の過去問を3年分買い込んで、何度も何度も繰り返し解くことにしたんです。
先生が「朝起きてすぐに勉強するといい」と言うので、毎朝4時半から5時には起きるようにしました。仕事の合間にも図書館で勉強しましたし、バスで問題集を読んでいたら乗り過ごしそうになったことも。そうして毎日やっていたら、なんぼ年寄りでも「この問題はあそこに書いてあったな」と覚えていくもんですよ。
一緒に講座を受けた職場の人たちとも、お互い励まし合ってね。私は乗り物好きなので、試験会場へも何度か下見に行きました。当日はみんなと駅で待ち合わせて、「はーい、こっちよ」ってガイドさん気分。(笑)
試験って、受からんかなと思う時はビクビクしたり面白くない気分になったりするもの。でもその時は、なんや遠足みたいに楽しかったので、「受かるんやないか」と感じていましたね。実技試験も、職場の人が練習台になってくれたり、家ではホウキに座布団を巻いて介護者に見立てて練習したりしたおかげで、76歳にして無事に合格することができました。