この先、いくつまで続けられますやろ

実は私、80歳の時にケアマネジャー(介護支援専門員)の資格も取りました(笑)。先に資格を取っていた次女が、「お母さんも頭の体操になるから受けてみたら」と、参考書や過去問をどっさり段ボールに入れて送りつけてきましてね。その時は、介護福祉士より難しい試験なんてよう受けんわ、と押し入れに突っ込んでいたんです。

でもある時、「今年私、80歳になるんやわ。その記念にちょっと受けてみようかな」と思い立ちまして。参考書を引っ張り出して次女が勉強した跡を見てみたら、「なんやあの子、こんなんわからんかったんか。これなら私のほうが知ってるわ」なんて(笑)。医療に関することは、薬局をしていたからわかることも多かったんでしょうね。

その年の合格率は19.2%ということでしたが、なんとか合格できました。80代での合格は珍しいと、新聞にも載せてもらったんですよ。ただ、ケアマネの仕事はしていません。私はやっぱり現場が好きですねん。利用者さんと直接触れ合い、ゆっくり話を聞いて、お世話できるのが嬉しいのです。

介護の仕事を始めてから、世の中のいろいろな出来事にも関心が出てきました。今気になっているのが、ヤングケアラー(家族の介護やケア、身の回りの世話を担う18歳未満の子どもたち)の問題です。テレビなどでも取り上げられていますが、表に出るのはごく一部でしょう。底のところには、もっと大勢の苦しんでいる子がいるんじゃないかと心配で。

介護やケアというのは、やはり家族だけではしんどくなる日があると思います。そういう時は制度を上手に利用して、一息ついてほしい。そうすれば私たちヘルパーにも仕事があるわけですからね。(笑)

その介護業界も若い人から敬遠され、常に人手不足です。でも、そんなに嫌がられる仕事かなあって思うんですよ。料理や掃除などの主婦の経験、私の場合は夫や娘と働いた経験も全部生かせているし、そのうえ皆さんに感謝までしてもらって。70歳を過ぎて、本当にいい仕事を見つけられたと思ってます。

さてこの先、いくつまで続けられますやろ。今の調子やったらあと3年、満90歳まではヘルパーでいけるんちゃうか、と思ってるんです。「100歳まで働きます」と会社には宣言しているもんで、その後もなんとか私を生かせる道を職場の皆さんに考えてもらわんといけませんね。(笑)

先月も、私より若い身内が先に逝ってしもうて、「なんで私を置いていくんや」と怒っていました。でも、人の命ばかりは思うようになりません。それが人生です。

「70過ぎたらお釣りの人生。1、2年続いたらええわ。とにかくやってみよう」と始めたこの仕事も、毎年お釣りをもらい続けて、長い年月が経ちました。それでも私は動けるうちは働いて、お役に立ちたい。そのためにも体に気をつけ、毎日を元気に過ごしたいと思っています。