両親が亡くなって悲しくないわけじゃないけど、もう60になるので「悲しい」とか甘えたことは言っていられないですね。ニュースでは「残された4人のお子さんたち」なんて紹介されてたけど、お子さん4人合わせて236歳ですからね(笑)。今は、2人を見て育って、人生のいい先達だったなという感謝の気持ちが強いです。
この正月、親父のところに泊まっていたんです。親父が夜中に起きてあれこれ言い出すから、それを俺が諫めたら、「何様のつもりだ? ちょっと成功したからって生意気な口叩くんじゃない」って言われてしまいました。この時間にこんな面倒くさいこと言うなんて、と思わず書き留めてしまった。(笑)
でも、「ちょっと成功」と言ってくれたということは、一人前とまでは言わないけど、家族を養って生きているとは思ってくれていたんだろうなとポジティブに受け取りました。
この先の石原家は、僕たち兄弟それぞれがどう生きるか、それだけです。もう家父長制度の時代じゃないからね。兄弟の仲はいいと思います。長男と三男は政治家だけど、俺は異業種。石原産業みたいに一緒に仕事をやっていたら、意見が分かれたりするんだろうけど。
最近よく「親ガチャ」って言いますよね。もちろん恵まれたところもあるし、関係ないとは言えない。親や家との関係がつらくて、逃れられない人は大変だろうなと思う。
いわゆる「二世」とか「何代目」という人たちの大変さはわかるけど、俺はそこまで家に縛られている意識はなかったんです。わが家は放任主義だったし、跡を継いでいるわけでもない。
俺の一番の強みは、鈍感力なんです(笑)。人から「偉大な父と叔父」とか言われても、たぶん俺はまだ、なんにも気がついていない(笑)。富士山の麓からは富士山だとわからないみたいな、そんな感じかもしれないです。