家族は「仲がよくて当然」ではない
つまり、それだけを考えても、家族というのは、「仲がよくて当然」でもなければ、「自然と愛し合うもの」でもないことがわかります。
いや、むしろ普通にしていたら「自然と仲が悪くなってしまう」のが家族というものの実情なのかもしれません。だから何度も声高に「仲よくしましょう」とくり返す。
あなたも友人から「家族がうまくいっていないんだ」などと悩みを打ち明けられたことが一度や二度はあるでしょう。「家族さえいなければ俺はもっと自由なのに」とか、「あの子と結婚さえしなければ……」とか。
一見、仲がよさそうに見える家族だってひと皮むけば内実はどうなっているかわかりません。
今でも関係は修復していないようですが、「大塚家具」の経営方針をめぐる父娘の争いなどは記憶に新しいところでしょう。あんなことが世間にバレてしまったらブランドイメージは大きく損なわれますから、水面下では決裂しないように、ずいぶん話し合いがもたれたのではないでしょうか。家族だけの問題ではなく、社員をはじめ多くの人が関わっているのですから、それだけ解決のための知恵も出たはずです。
それでも最終的には、決裂せざるを得なかった。単純な親子関係だけではありませんが、一度こじれるとなかなか修復できないのが家族関係でもあります。
そもそも「家族全員を平等に愛していますか?」などと聞かれて、自信満々に「もちろんです!」と答えられる人など、どのくらいいるのでしょう。
2人以上のお子さんがいる人は、その顔を思い浮かべてみてください。2人にまったく同じ愛情を注いでいると自信を持って言えますか?
たとえそんなに大きな差はないとしても、「どちらのほうがより可愛い」くらいの差はあるのではないでしょうか。そう思った方、安心してください。僕の調査によれば、僕の周囲もみんな「そうだ」と言っていました。
子どもがいなければ、両親の顔を思い出してみてもいいでしょう。「お母さんのほうが好き」「いや、お父さんのほうだ」は絶対あるはずです。それが自然なことですから。
家族だからという理由だけで「全員平等に好きで、愛さなければならない」としたら、そのほうがよっぽど不自然です。