家族は理解してくれる、この思い込みが悲劇を

世間の家族がうまくいっていない例は、こんなデータからも垣間見ることができます。

『増補版-弘兼流 60歳からの手ぶら人生』（著：弘兼憲史／中公新書ラクレ）
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警視庁によれば、2013年の殺人事件検挙件数のうち、被疑者と被害者の関係が親族間である割合は53.5％でした。

つまり、2013年に検挙された殺人事件のうち、半数以上は「親子」「夫婦」「兄弟姉妹」などの親族間の殺し合いだったのです。

普段ニュースを見聞きしていると、凶悪な殺人事件ばかりが報道されているような印象がありますから意外に思われるかもしれませんが、実は殺人事件というのは、戦後ずっと減少傾向にあります。

社会全体が豊かになれば、それにつれて犯罪が減るのは当然の流れ。特に2009年以降は1000件以下をキープしています。1990年代以降はずっと1100～1250件ぐらいの横這い状態が続いていますから、その頃に比べても数百件も減っているわけです。

にもかかわらず、親族間の殺人事件に関しては増加しているのが実情です。

2003年までの過去25年は、親族間の殺人事件は検挙件数全体の40％前後でしたが、2004年に45.5％に増加すると、この10年でさらに10％近く増加し、2013年に53.5％となったわけです。

そういった意味で現代は、昔に比べて、より殺伐としているといえるかもしれません。