「家族は仲よく」に疑問を持つことすらタブー

友人や仕事関係の人であれば、いよいよ仲がこじれてしまったら、友人をやめるなり、仕事や学校を辞めるなりすれば、その関係を切ることができます。

「家族をやめる」というのも不可能ではありませんが、法的な手続きもなかなか面倒です。つまり、人間関係でいちばん切りづらいもの、それが家族ということになります。

加えて誰もが、「お父さんお母さんを大切にしよう」とか「家族は仲よく」なんてことを子どもの頃からくり返し、学校や社会から教え込まれてきています。

ですから、世間ではそこに疑問を持つことすらタブーのような雰囲気があります。この意識から抜け出すのはそう簡単ではないかもしれません。

「家族は仲よく」と学校や社会から教え込まれているから、そこに疑問を持つことすらタブーのような雰囲気があるし、その意識から抜け出すのはそう簡単ではない(画:弘兼憲史)

しかし逆に言えば、そんなことをくり返し教えるということは、「教えないとそうならない」ということでもあります。放っておいても自然とそうなるのであれば、わざわざ教える必要はないからです。

「人間というのは呼吸をしないと死んじゃいますからね。絶えず息を吸ったり吐いたりしましょう!」

そんなことをくり返し教わって成長してきた、という人はおそらくあんまりいないと思います。放っておいても自然とやることは教える必要がないのです。教えるほうだって面倒ですから。