年金が減る以外にも、繰上げ受給はデメリットがいっぱい

繰上げ受給には、ほかにも不利な点があります。まず、一度、年金を受給したら途中で変更がききません。その金額でずっと続けていくしかないのです。

また「遺族年金」との併用はできず、自分の年金か遺族年金のどちらか一方を選択します。通常は遺族年金のほうが金額も大きいので、こちらを選びます。65歳からは両方とも受け取りが可能になりますが、繰上げ受給で減額された金額が支給されます。

さらに、「障害年金」も受け取れなくなります。大ケガをしたり、がんなどの病気になって重い障害が残った場合、要件に該当すれば障害年金が出ます。しかし、繰上げ受給をしている人は、この要件を満たしていても障害年金をもらえなくなってしまうので注意してください。

つまり、繰上げ受給はデメリットのほうが大きいといえます。どうしても生活が立ちゆかなくなったときの最後の手段と考えてください。

※本稿は、『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。


私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(著:長尾義弘/河出書房新社)

平均寿命どおりに生きれば、女性は最後は必ず「おひとり様」に! 男性より少なくなりがちな女性のケースごとの年金額を算出し、投資などに頼らずに「公的年金」を増やす方法を伝授。「けっきょく、私は年金をいくらもらえるの?」「年金なんて当てにならないんじゃない?」「夫がいるから、老後も安心でしょ?」……じつは、女性ほど老後資金は不足しがち。では、どうすればいいの? 答えは本書にあります!