山形県民に優しくしてあげたい

きっとこれは現場仕事に限らないのではないか。こういう奴がどの企業のどの部署にも一人は配置されていて、日本人が企業戦士になって過労死しないように、そして、家庭より会社の居心地が良くならないように、厚生労働省が全国から集めて派遣してきているんだと思います。

だからあいつらに、「皆から仕事の楽しさを奪う」という国の仕事を忘れさせて、「楽しく働きたい」と思わせたら我々の勝利なのです。

僕は自分にそう言い聞かせて、嫌な奴がいようがいまいが、毎日ひたすら感情を失くして仕事をしてきました。

ところが、山形にはそういう人がいない。エピソードができない。皆いい人すぎる。

僕は、山形県民に優しくしてあげたいと思うようになっていきました。

※本稿は、『脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(大和書房)の一部を再編集したものです。


脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(著:本坊元児/大和書房)

地方タレントになりたくて吉本に来た芸人なんか一人もいません。でも、芸人を続けられるならと、藁にもすがる思いで決めていることを吉本にはわかってほしかった――。後輩「千鳥」や同期「麒麟」が売れていく中、「ソラシド」の本坊 元児が焦りながら模索した新しい生き方とは? 都会を離れ、地方だからこそ見つけることができた、もう一つの芸人人生をここに!