「どうしても男役のようにパリッとしちゃう」(望海さん)と話す、明日海りおさん(左)と、望海風斗さん(右)
元宝塚トップスターの明日海りおさんと、望海風斗さん。明日海さんは花組のトップを務め2019年に退団、朝ドラに出演するなど幅広く活動中だ。望海さんは雪組のトップとして活躍し、2021年に退団後、芸能活動をスタートしている。宝塚音楽学校の同期として出会った二人は、果たしてお互いをどう見ているのか。現在東京・帝国劇場で上演中の大ヒットミュージカル『ガイズ&ドールズ』の共演を前に語った。(撮影=初沢亜利 構成=清野由美)

<前編よりつづく

自分たちだけにわかる「あるある」

望海 89期生として入団して、私は花組へ、さゆみちゃんは月組へ。学校と寮であれほど同じ時間を過ごしたのに、歌劇団に入って組が分かれると、舞台で一緒になる機会は一気に少なくなっていく。お互い、こんなに大きな存在なのに、宝塚時代の共演は、意外なほど少なかったです。

明日海 でも、違う組にいる間は、それぞれの舞台を観ていたね。相手の積み重ねを胸に刻んで、見えない絆を育むというか。

望海 13年にさゆみちゃんが組替えで花組に来て、1年半だけ同じ組になって。入団後10年経ってもコツコツと積み重ねていく部分が全然変わっていないことに心打たれた。もちろん、輝きはさらに増しているんだけど、自分との闘いを淡々と持続できることがすごい。恐れ入りました、と胸の中でお辞儀をしていました。

明日海 私のほうこそ、あやちゃんの舞台を観続けながら、三番手、二番手、トップと、どの位置にいても、男役に対する熱さがまったく変わっていないことに感動した。寮の部屋で語り合った憧れの気持ちはそのままに、それでいて表現がどんどん細やかに深まっている感じで……。

望海 こんな話、あまりしてこなかったね。私たち、お互いの舞台を観に行った時は、楽屋を訪ねて、たわいない話をしていたじゃない? あの衣装、大変でしょ、とか。私たちだけにわかる「あるある」。すごく短い会話なんだけど、言い合うだけで元気になれた。あと同期だからこそ、「あの場面のここが気になった」と指摘したり。

明日海 同期だから言えること、かつ、同期にしか言えないことだよね。アドバイスがものすごく貴重でした。同じ熱量を持っていて、それでいて視点がちょっと違うという、なかなかいない条件の存在だから。(笑)