本連載がまとまった青木さやかさんの著書『母』

離婚して隣町に住んだ父には時々会いに行っていた。

「さやかは友だちがいるのか?」
と聞かれて
「まあ、いるよ」
と答えると
「じゃあ、親はいらないな」
と言う父だった。

帰り際には「友達は大切にしなさいよ」と言った。
親に、親はいらないな、と言われて帰るわたしの気持ちって一体、と思いながら、まあいいか、それもそうかもしれないな、と思ったりした。

父と仲が悪かったという記憶はないが、可愛がってもらったなーという記憶もない。
正義感の強い人で、イルカを助けよう!と声をあげて、時折新聞に載ったり、教職をおりてからは、当時大阪府知事だった橋下徹さんに何十枚と手紙を書き、送りつけたりしていた。「彼は見込みがある」というのが口癖だった。そして「これを読めば、橋下徹も大きなヒントになるだろう」と言っていた。

わたしはため息をつきながらも、橋下さんも忙しいだろうがお返事でもくださるとありがたいな〜と思ったりした。