「結局のところ、断腸の思いで処分したのですが、手放してしまったら不思議なくらい何の未練もないの」

移住前に行ったこと。断捨離と墓じまい

移住までの準備期間は3ヵ月ほどでした。家を借りるとか、住民票を移すといったことは息子が引き受けてくれましたが、引っ越しをするにあたり、自分のものは自分で整理する必要がありました。

断捨離に着手して思ったのは、ものってどうしてこうも増えるのかしら、という素朴な疑問。今にして思えば、ものに埋もれて暮らしていたようなものよね。たくさん所有していた着物は、似合いそうな何人かの方に差し上げることに。バッグや服も、欲しいと言ってくれる友人がいたので助かりました。

困ったのは、大事にしていた家具たち。たとえ清水の舞台から飛び降りるようにして買ったものでも、石垣島での生活にはそぐわない。かといって人様にもらっていただくには古すぎる。でも処分するのは忍びない……と、悩ましいなんてものじゃない。

結局のところ、断腸の思いで処分したのですが、手放してしまったら不思議なくらい何の未練もないの。愛着のあった鍋や食器も、「今までありがとう」と別れを惜しみつつ、「必要なら新調するけど。ごめんね」と伝えて、どんどんごみ袋に入れていきました。

もう一つ移住前にしたことが、墓じまい。毎月29日に欠かさずお墓参りをしてきたのですが、石垣島から通うのは大変でしょう? お墓参りができないというストレスを抱えるのはいやだし、今後、墓守を息子にゆだねるのも可哀そうだなと思って決断しました。

私の死後はどうしてくれてもいいの、気持ちの問題ですから。息子たちがやりやすいようにしてほしい。仏壇に手を合わせてくれれば十分だと思っています。