僕みたいな異分子は、標的にされやすかったのだと

副島 たかがキャップのことなんで、すぐに挽回できると思ってたんですけど、その出来事を発端に距離が縮まるどころか、どんどん離れていってしまったんです。

気が付いたらみんなと僕のあいだには分厚い壁ができていたというか……。馴染めるとか馴染めないとかじゃなくて、要は仲間外れです。

───これまでにも小学生の頃にいじめられた体験を雑誌や新聞などのインタビューで話していますが、引っ越しを機にいじめられるようになったということ?

そうですね。さっきも言ったように、転校先の学校はちょっと閉鎖的なところがあったので、ただでさえルックスで目立ってしまう僕みたいな異分子は、標的にされやすかったのだと思います。

それこそ、キャップなんてただのきっかけでしかなくて、その後はやっぱりルックスのことを言われるようになりましたから。肌はだの色であったり、髪質であったり、唇の厚さだったり。もう本当に延々と言われました。

転校前は、あまりルックスのことを言われた記憶ってないんです。言われていたとしても、そんなに悪意のある言われ方はしてませんでした。お調子者だったし、ちょっと言われるくらいだったら、そんなに気にもしなかったんですよ。

転校前、小学校3年生の副島さん。周囲がゲームなどの話で持ち切りの中、持っていない副島さんは話を合わせるのに必死だったそう(写真提供:副島さん)

それがあからさまな悪意を込めて言われ続けると、もう完全に思考回路が止まったというか、うまく立ち回れなくなったんです。

で、しだいに容姿のことを言われるだけじゃなくて、「副島にさわったら“副島菌”がうつる」みたいなゲームは始まるわ、クラスの班決めでも仲間外れにされるわってことになってきたんです。

加えて「貧乏」について、前の小学校の時はウソをつくことでなんとか回避できていたことも、引っ越し先では通用しなくなったこともあって、

「おまえ、スーファミ持ってないんだろ? 貧乏だな」とか、「副島は貧乏だから、服はいつもヨレヨレだし、靴も汚ない」とかって言われるようにもなったんです。