「ああ、これはもう無理だ」って
もちろん、最初は「やめてよ」って言って抵抗してたんですけど、抵抗すれば抵抗するほどいじめがエスカレートしていったんです。
クラスに女の子でもいじめられてた子がいたんですけど、その子と無理やり手をつないで下校させられたり、二人でトイレ掃除をやらされたり。
上履きや教科書を隠されたりしたこともありますし、校庭のサッカーゴールの前に立たされて蹴ったボールをぶつけられたこともあります。
そこまで来ると、こちらが抗えば抗うほど、いじめてくる人たちっておもしろがるし、喜ぶんですよ。
それがわかったので、そこそこ早い段階で諦めることにしました。これは僕の性格も関係してるかもしれないんですけど、結構なんでも諦めるのが早いんです。四年生の終わりくらいには、すっかり諦めてましたね。
「ああ、これはもう無理だ」って。「なにをやっても無駄だ」って。「僕は見た目がみんなと違うから仕方ないんだ。こういうもんなんだ」って自分に言い聞かせたんです。
そこからは、一切感情は表に出さないようにしました。なにを言われても泣かないし、怒らないし、悲しまない。いちいち感情に引っ張られると、疲れますから。引っ張られたぶん、絶対に反動があるので。