固定観念は悪、先入観は罪

番組の中のVTRで、野村監督は「９つのポジションにはそれぞれ多様な条件がある。その条件に合うか合わないかを見つけるのが監督の仕事だ」と、選手の個性に合わせた指導の重要さを強調していた。

「固定観念は悪、先入観は罪だ」として、既成概念で選手を見てはいけないと戒めた。そのうえで「（自身の持っている）可能性を引き出すことが人生そのものではないですか」と語っていた。

「９つのポジションにはそれぞれ多様な条件がある。その条件に合うか合わないかを見つけるのが監督の仕事だ」（写真提供：PhotoAC）
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自分自身を知って可能性を探ることが転身力であるとすれば、野村監督が自分を変えたいと願っている選手（転身者）にとって師匠となり、野村再生工場と呼ばれたことにも十分な理由があると思いながらテレビ番組を見ていた。

また、現役時代に捕手の野村克也とは、盗塁の成否をめぐってライバル関係にあった福本豊選手も番組に登場していた。

世界の盗塁王と言われた福本選手の盗塁を封じるため、野村捕手が「（投手の）クイックモーション」を開発して対抗するなど、互いに切磋琢磨する間柄だった。福本は、楽天からドラフト１位指名を受けた田中将大投手の親戚にたまたま出会ったという。

「楽天に指名されたのですが、大丈夫でしょうか?」と聞かれたらしい。それに対して福本は「一番いいところに行くことになったと思いますよ」と答えたという。

野村監督は、周囲からボヤキとかいろいろ言われることがあるが、昔から多くの投手を見てきているし、自分でも実際にボールを受けている。また細かい点も見ることができると理由を述べていた。ライバルからも高く評価されていたわけだ。