松井　歌が黒歴史じゃなくて、よかった（笑）。つくった側としては、多少なりとも大事にしてほしいという思いもありますからね。僕のほうも、こうしてまた中江さんと一緒に音楽の仕事ができて嬉しいです。僕はせっかちな性格なので、「これ、楽しそうだからやってみようよ」と、ボールを投げたとき、すぐに投げ返してくれる相手じゃないと噛み合わない。その点、中江さんとはスムーズにキャッチボールができるので、新しいアイディアがどんどん湧いてくる。

中江　歌を再開した矢先にコロナ禍が起こり、家から出られなくなってしまったときも、松井さんが「YouTubeで歌ってみよう」と提案をしてくださったおかげで、自宅で歌い続けることができました。

松井　うん、まずシンガーソングライターのQoonieさんに、彼女の家でピアノを弾いてもらい、そのカラオケを僕が中江さんに送る。そして、そのメロディをバックに、中江さんは自宅で歌を歌ってiPhoneに吹き込む。

中江　私が歌っている映像は、妹にカメラを回してもらっています。

松井　その映像と音源を僕に送ってもらい、編集してYouTubeで配信する。コロナ禍でリアルに会えない中でも、こうして自分たちの力で新しい試みにトライすることができたのは、僕にとっても新鮮な経験でした。家で歌うから『家歌』と題したこのYouTubeチャンネルで、中江さんの歌声を配信してきたことが、今回のニューアルバムの制作にもつながったわけですからね。

中江さんとはスムーズにキャッチボールができるので、新しいアイディアがどんどん湧いてくると語る松井さん（写真提供：中江有里さん）
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