カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第9回は「アイコンとなる光と色」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第9回は「アイコンとなる光と色」です
作品の中にアイコンとなる光と色を作るべし
〔 撮り方 〕
ジュエリーアイスの一番のドラマは、朝焼けの色で氷が染まるところ。
氷と背景の海の両方を表現したかったので、単焦点広角レンズで被写界深度を深くとった。
さらにスローシャッターで海の波頭を消して、背景から氷が浮かび上がるようにした。
この作品の一番のポイントは、手前の氷の穴に映り込む朝日のピンクである。
この作品の物語はここからスタートしている。
つまり、氷のピンクから氷全体、波のグラデーション、そして空へと視線が続くように作り上げているのだ。
これを見つけられなかったら、ここを撮らなかったと断言してもいい。