間宮祥太朗×石井杏奈「現代人がSNSで〈仮面〉を被る姿は、丑松に通じるところがある」「志保のように、嘘偽りなく自分の心を貫きたい」

間宮祥太朗さん（左）と、石井杏奈さん（右）

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ただ近づいただけで、こんなにドキドキするんだ

間宮　：原作『破戒』は、かなり難解な言葉で書かれていますが、意外と物語はストレートでシンプル。映画ではそれがさらに削ぎ落とされたものになっています。監督は「一つのラブストーリーとしても読める」と言っていて、しっかりラブで行こう、と。ロマンチックな話だよね。

石井　：私も様々な恋愛のシーンを経験させていただきましたが、『破戒』は、言葉がとても少なく、2人は目も合わせず…ただ近づいただけで、こんなにドキドキするんだと思いながら演じていました。実際に、スクリーンで映画を見て「ああ、二人は恋をしているんだな」と心から思えたので良かったです。

間宮　：石井さんの演じた志保さんは本当に「聡明」という言葉が似合う女性だったよね。

石井　：恥ずかしいです。私にとって間宮祥太朗さんはずっとテレビで見てきた存在だったので…。

間宮　：そんなに年、変わらないよね（笑）？

石井　：撮影では「立っているだけで、なんて絵になる方だろう」と見惚れていました。二人のシーンの撮影はずっと京都だったので、「京都の間宮さん」は私にとって「丑松さん」そのものでした。

間宮　：確かに『破戒』は僕の、同世代随一の古くて濃い顔が活かせる映画だったかもしれない。最近、顔に年齢が追いついてきた気がする。現場では緊張していた？ 

石井　：最初はとても緊張していたのですが、矢本悠馬さんが和ませてくださいました。お二人は共演作品も多くて、本当に仲がいいですよね。

間宮　：世間的には「またあの二人が親友の役か」って感じだろうけど。（笑）

石井　：矢本さんが何か言って、お二人がずっと笑っていらして、そのいい意味での軽さにとても救われました。

瀬川丑松役の間宮さん（左）と、同僚の教師・銀之助役の矢本悠馬さん（右）。プライベートでも親しい二人（ｃ）全国⽔平社創⽴100周年記念映画製作委員会