僕も、芸能人と素の自分という二つの顔を両方持っている
間宮 :今の時代の人たちは、僕も含めて丑松の時代の身分差別を経験したことがない。でも現代にも、まだ名前もついてない差別を含め、たくさんの差別が存在すると思うので、『破戒』は多くの人の心に刺さるお話だと思う。
石井 :同世代の人に見てもらいたいメッセージがたくさん込められていると思いました。
間宮 :それから『破戒』のテーマとして、丑松が「仮面」を被って生活しているというのがあるんだよね。現代の人たちが、SNS上でキラキラしていたり、幸せな自分をネット上にアップしたりしている姿は、ある意味「仮面」を被っているみたいで、それは丑松の心境と通じていると思う。
石井 :そうですね。
間宮 :僕も、芸能人と素の自分という顔を両方持っているけれど、SNSで発信している人たちは同じ感覚を知っているんじゃないかな。その仮面を剥がれる「恐怖」とまではいかなくても、本当の自分とSNSの顔に乖離がある感覚を持っている人には、丑松の心境がきっと理解できると思う。
石井 :はい。私も志保にはとても共感しました。志保は、周囲の人から「こういう人を選んではいけない」と言われても、密かに自分の愛を貫いていく強さを持っています。私も嘘偽りなく自分の心を貫きたいと思っているので、その気持ちを込めて演じることができました。現実には、丑松さんのようになかなか愛を口にしてくれない男性がいたら「ウジウジするなよ~」と自分から告白してしまうかもしれないですが(笑)。しかし志保のように、告白できないでいるその人の全てを好きでいたいとも思いますね。